やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「2回に分けて、13年前に戻れなかったのは。
 術者本人が時戻し時送りを行える回数を予め決められているからじゃないの?
 何回でも行えたら、やがて術者は自分を万能だと錯覚してしまうから。
 神の領域を侵そうとする術者がかつて居たから。
 時戻しを行う前に魔法士の誓いを立てさせられていると言ったわね?」 
  

 私は人が何気なく言った言葉が耳に残ってしまう。
 だから、本人は掘り下げて話すつもりがなかったことまで、後から尋ねてしまうことがある。 
 今回もそれが当たったようで、本当に本気でオルは嫌な顔をした。


 それは『バレちゃったかー』的な、少し照れたような微笑ましいものじゃなくて、私を睨み付けるような、怖い顔だった。

 これがオルが私に絶対に知られたくなかった、時戻しの魔法のカラクリなんだ。


 オルが初めて見せた怖い顔に、負けない。
 睨んでも、続ける。


「その誓いは破ると命はなくなる、とフィリップスさんも言っていた。
 貴方はそれなのに、私を説得することを諦めて黙ったまま、命懸けで3年前にまた戻ろうとしてる。
 それで? 行けば貴方はどうなるの?
 16の私に会って、シドニーには近付くな、と話した後、貴方はどうなるの?」
 
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