やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「時戻しを既に2回してしまったんだから、時送りはもう使えなくなって、23歳だった13年後には戻れなくなって、死ぬまで居続ける?
 10歳のオルも存在しているのに、23歳のオルがずっと存在することを神様が許すとは思えないけれど?
 それとも、2回目の時戻しの後に誓約が発動して直ぐに死んでしまうの?
 そんなことになったら、16の私には会えなくて無駄死になるわね?」

「ディナ!
 いい加減にその口を閉じてくれ」

「いいえ、黙らない!
 貴方のその自己犠牲の精神はご立派過ぎて、私には理解出来ない。
 賭け、って何なの!
 王族も動かせる貴方の命を懸ける価値が、私にあるの?
 29歳の私が、帰ってこない貴方を想ってどれ程悲しむか考えないの?
 いつか貴方に会えると信じてる16歳の私が可哀想だとは思わないの!
 分かる範囲なら話す、と言ったわ!
 早く答えなさい!」


 いくら、言いたいことは黙っていられない性分の私でも、人に対して、年上の男性に対して、ここまで喧嘩腰で大声をあげたことはなかった。
 
 それ程私は腹が立って。
 腹が立っていたのだ。
< 165 / 444 >

この作品をシェア

pagetop