やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「君のひとりだけの力では無理なこともあると思う。
 この人なら、と協力を仰げそうな人になら打ち明けてもいいんじゃないかな。
 それを信じるか信じないかは、相手次第だけどね」



 魔法士の誓いは、魔法士だけに発動される。
 元々、時戻しは術者が行うもので、他者に時戻しを掛ける等今まで無かったのだと言う。
 オルはその盲点を衝ける、と笑っていた。


「今回、君が俺から掛けられたことを報告すれば、また新たに誓約が増えると思うけど、現状では掛けられた君には何の制約もかけられていない。
 だけど、呉々も神の領域だけは触れないように気をつけて」


 それならば、協力を得たいのは先ずはこの人しか居ない。
 

 私はこれから、ムーアのじぃじ。
 ヒューゴ・ムーアに『時戻し』を打ち明けて、協力して貰おう、と決めた。


 私の祖父は、いち早くモニカの本性に気付いていた。
 王都に出てきたモニカを身近で牽制出来ずに、素行調査をフィリップスさんに依頼するくらいに。


 この年のじぃじが、既にモニカに目を付けていたかは、わからないけれど、全てを話すならじぃじしか居ない。


 時戻しを信じるか信じないかは、祖父次第。
 信じて貰えないなら、乙女の夢物語で終わらそう。
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