やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「どうした、ジェリ」

 祖父が応接室に入ってきて、立ち上がった私を軽く抱擁した。
 祖父は語尾を伸ばさずに私を呼ぶ。
 その理由は『せっかちだから』と母は言っていた。


「次に会えるのは、いつか分かりません、と言ってたのは3日前の話だぞ」

 3日前なら入学式に出席してくれた祖父と、ここで食事をしたのね。


「お祖父様がお忙しい身なのは存じ上げています。
 お時間を取らせないように、出来るだけ手短に話しますので、お聞きくださいませ」

「大したものだ。
 入学して4日目で、話し方が大人びたな。
 家を出て寮に入ったら、甘えが減ったか」


 家を出て……と言ってくださったのに。
 その家に週末に帰りたいので列車の往復チケット代をください、と言ったので、祖父は暫く私の顔を何も言わずに見ていた。
 これは余計な心配をさせたのに違いない。



「ホームシックでも、寮で苛められて逃げ帰るのでもありません。
 クレイトンの現状確認を急ぎたくて、です」

「現状確認とは何だ?」
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