やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「従姉のモニカが巧妙に広めている噂です。
 領内で彼女はノックスヒルで冷遇されている、と誤解をされるようにわざと周囲に話しています。
 その結果、父より彼女こそが爵位を継ぐべきだったと思い込んでいる聖女信者が増えて来ているのは、お祖父様もご存じか、と」


 祖父は女性の前では喫煙はしないひとだが、無言でテーブルの上に置かれた葉巻入れの蓋を開け閉めした。
 何度かパタパタさせて、やはり吸うのをやめたのか、そこから手を離した。


「お前達家族は、誰も信じないと思っていたがな。
 私から見たら、お前達こそが一番の信者だった」


 これを言われると、辛い。

 その通り、父も母も私も。
 リアンもクリフォードも。
 ノックスヒルの全員がモニカを信じてた……
 今も私以外は彼女を信じている。


 徐々に、ノックスヒルの皆の、クレイトンの領民の、意識を変える。


 決してモニカは可哀想な女の子なんかじゃないんだ、と。
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