やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 しばらくすると、ふたりを囲む輪はゆっくりとほどけていって、それぞれにこの集まりを楽しむために離れていく。
 そして、その道すがら。
 ついでのように、私にまでお祝いの声をかけてくる人達がいる。


 彼の21歳の誕生日パーティーで婚約を発表したふたり。
 主役の彼、シドニー・ハイパーは私の尊敬する先輩で。
 婚約者となった彼女、モニカ・キャンベルが私の従姉だからだ。
 私が彼等ふたりを取り持ったのだ、と思い込んで。


「良かったわね、ジェン!」

「おめでとう、ジェン!」


 どうして、私にまで『おめでとう』なんて…
 誰も知らないのだ。
 故郷を離れて、ふたりで住んでいたのに、モニカは私にシドニーとのことを黙っていた。
 いきなり婚約なんて有り得ないから、シドニーとモニカは私に隠れて恋人同士になったのだ。

 それは一体、いつからだったのだろう?
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