やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
毎月帰省するもっともらしい理由を決めて、挨拶を終えて立ち上がってから、伝え忘れていたことを思い出した。
「そうだ、じぃじ。
2年後にあの花瓶をウィルが割ってしまうの。
高価な物ですよね? 片付けておきます?」
「……それで、ウィルは怪我をするのか?」
「いえ、あの子は無事です。
でも、泣いて泣いて謝って」
「怪我がないなら、そのまま飾っておく。
物はいつかは壊れる。
ウィルは次から気を付ける、それでいい」
◇◇◇
帰りに、車を出しましょうとアーネストさんが言ってくださったのでお断りをした。
「来週から土曜だけシーズンズで働くことになりました。
ご挨拶がてら、お店を覗かせていただいてもいいですか?」
アーネストさんが本店に電話をして許可を取ってくださり、近くまでオムニバスに乗って、バス停からぶらぶらとお店まで歩いた。
シーズンズはフルーツと甘いものが好きな母のために、祖父が作った店だ。
今は祖母が社長だけれど、母が伯爵夫人、リアンが次期伯爵となっているので、私が誰かと結婚した後にシーズンズを継ぐ話は出ていた。
結婚相手以外は既に決まっている将来のことを考えながら、夕方の街を歩く。
クレイトンに行く前は幼すぎて、シーズンズの商品は食べたけれど店舗に足を踏み入れたことはない。
「そうだ、じぃじ。
2年後にあの花瓶をウィルが割ってしまうの。
高価な物ですよね? 片付けておきます?」
「……それで、ウィルは怪我をするのか?」
「いえ、あの子は無事です。
でも、泣いて泣いて謝って」
「怪我がないなら、そのまま飾っておく。
物はいつかは壊れる。
ウィルは次から気を付ける、それでいい」
◇◇◇
帰りに、車を出しましょうとアーネストさんが言ってくださったのでお断りをした。
「来週から土曜だけシーズンズで働くことになりました。
ご挨拶がてら、お店を覗かせていただいてもいいですか?」
アーネストさんが本店に電話をして許可を取ってくださり、近くまでオムニバスに乗って、バス停からぶらぶらとお店まで歩いた。
シーズンズはフルーツと甘いものが好きな母のために、祖父が作った店だ。
今は祖母が社長だけれど、母が伯爵夫人、リアンが次期伯爵となっているので、私が誰かと結婚した後にシーズンズを継ぐ話は出ていた。
結婚相手以外は既に決まっている将来のことを考えながら、夕方の街を歩く。
クレイトンに行く前は幼すぎて、シーズンズの商品は食べたけれど店舗に足を踏み入れたことはない。