やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 夕食が終わり、またぞろオルのことで胸がモヤモヤしだした頃、祖父から電話が来た。
 開口一番に『料金はこちら持ちだから、長くなっても安心しろ、と先にペイジに言っておきなさい』と仰るので笑ってしまった。


「お前の友人はどんな女性だ?」

「嘘の無い笑顔が素敵で、人の言うことを素直に受け取り、かつ口が固いです」

「……もし、お前ならその友人を、どこに配置する?」

「特に希望は無いようですから、私ならシーズンズではなく、クリスタルのドアガールに」

「ドアガール?」


 この年には、まだドアマンと同じ仕事をする女性は居なかった。
 私が大学に入る頃に、ムーアとは別の百貨店で入口に立つドアレディが出現して、大いに話題になったのだ。
 それを2年先取りしてやろうと思った。
 ドアガールは絶対に評判になる。



「基本的にドアマンと同じ仕事内容で、制服も同じにします」

「女性に男の格好をさせるのか?」


 件のドアレディはドレス姿で、華やかな容姿の女性を採用していた。
 だが、それは所詮飽きられるのも早い。
 私はドアガールを一過性の流行りものにしたくない。
< 221 / 444 >

この作品をシェア

pagetop