やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
10
私は背中を未だに撫でてくれている子供をちゃんと見た。
最初は犬かと思った。
真っ黒にしか見えなくて、黒い毛並みの間から金色に光る目が見えて。
思いの外、強めのその瞳の輝きに、身体に電流が走ったようにビクッとなったけれど。
落ち着け、この子はさっきちゃんと喋っていた。
よく見ると、黒い髪がバサバサに伸びていて、顔も泥で汚れていて、おまけに着ているのは黒いブカブカの服、というだけの人間の子供だ。
「わざとぶつかったんじゃないよね。
だからね、もう謝らなくてもいいよ。
心配してくれたのね?
背中を擦ってくれてありがとう、パピー」
子犬みたいで、ついパピーと呼んでしまった。
ちゃんとした名前も聞かないでそう呼んだのは失礼だし、嫌がるかと思ったけれど、私がそう言うと子供は恥ずかしそうに笑って、黙って頭を何度も振った。
パピーは性別も分からないぐらい汚れていて、避けたくなるくらい……
少し臭うけれど、その仕草が可愛いな。
最初は犬かと思った。
真っ黒にしか見えなくて、黒い毛並みの間から金色に光る目が見えて。
思いの外、強めのその瞳の輝きに、身体に電流が走ったようにビクッとなったけれど。
落ち着け、この子はさっきちゃんと喋っていた。
よく見ると、黒い髪がバサバサに伸びていて、顔も泥で汚れていて、おまけに着ているのは黒いブカブカの服、というだけの人間の子供だ。
「わざとぶつかったんじゃないよね。
だからね、もう謝らなくてもいいよ。
心配してくれたのね?
背中を擦ってくれてありがとう、パピー」
子犬みたいで、ついパピーと呼んでしまった。
ちゃんとした名前も聞かないでそう呼んだのは失礼だし、嫌がるかと思ったけれど、私がそう言うと子供は恥ずかしそうに笑って、黙って頭を何度も振った。
パピーは性別も分からないぐらい汚れていて、避けたくなるくらい……
少し臭うけれど、その仕草が可愛いな。