やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
26
2度目の16歳、10月第2週目が始まった。
先月、シドニー王子の『お前の名前を言え事件』(と呼ばれていたらしい)があった帝国語の教室で、王子と私は同じ席を使用していたが、ただそれだけで。
一月経っても、身分差には何の変化もないので、私への陰口も減っていた。
休み時間や食堂で、遠くからシドニーを見掛けると。
配達をしている彼とは、まったく別人のようにも見えて。
偽者というよりは、物語でよくある別々に育てられていた双子じゃないか、と言うくらい、取り巻きを引き連れた院内の王子様は不遜な雰囲気を纏っている。
まぁともかく、偽者にしろ、双子にしろ、今回の私には関係がない。
そう思いたいのに、前回とは違った意味で、やはりシドニー・ハイパー(本名は何と言うのか) が、気になっていた。
今週の土曜日に、正体が判明する。
◇◇◇
待ち遠しかった退勤時間が近付く。
それに気が付いた先輩が私に『受け取ってから帰ってね』と言う。
今日は私が配送を受け取ってサインをする、ということだ。
あれからもシドニーが配達しているのだろうか。
自分の出自を調べられているとは知らないシドニーが、やはり厨房裏口に居た。
今日はまだ厨房担当者は出てきていなかった。
「ご苦労様です」
私が目も合わせずに挨拶すると、シドニーも無言で頭を下げた。
先月、シドニー王子の『お前の名前を言え事件』(と呼ばれていたらしい)があった帝国語の教室で、王子と私は同じ席を使用していたが、ただそれだけで。
一月経っても、身分差には何の変化もないので、私への陰口も減っていた。
休み時間や食堂で、遠くからシドニーを見掛けると。
配達をしている彼とは、まったく別人のようにも見えて。
偽者というよりは、物語でよくある別々に育てられていた双子じゃないか、と言うくらい、取り巻きを引き連れた院内の王子様は不遜な雰囲気を纏っている。
まぁともかく、偽者にしろ、双子にしろ、今回の私には関係がない。
そう思いたいのに、前回とは違った意味で、やはりシドニー・ハイパー(本名は何と言うのか) が、気になっていた。
今週の土曜日に、正体が判明する。
◇◇◇
待ち遠しかった退勤時間が近付く。
それに気が付いた先輩が私に『受け取ってから帰ってね』と言う。
今日は私が配送を受け取ってサインをする、ということだ。
あれからもシドニーが配達しているのだろうか。
自分の出自を調べられているとは知らないシドニーが、やはり厨房裏口に居た。
今日はまだ厨房担当者は出てきていなかった。
「ご苦労様です」
私が目も合わせずに挨拶すると、シドニーも無言で頭を下げた。