やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 さっき、荷降ろして汗をかいていたサイモンを見て、少しだけ見直していた私を、殴りつけたい。


「サイモン自身の領民票はどうなっています?
 彼をシドニーにするなら、消されたサイモンは?」

「セントハーバーの役所には、サイモンの中等学校入学直前にクララと共に隣国の脱線事故に巻き込まれて亡くなった、と縁者が届け出ていて、遺体は無かったが受理されている」

「……」

「前クレイトン伯爵夫妻が亡くなった例の脱線事故だ。
 ウチの国民も大勢亡くなっていたから、国中の関連各所も混乱した。
 それをセドリックは利用してサイモンを死者にしている。
 サイモンとモニカこそが、悪縁といえるかもしれない」

 祖父は立ち上がった。


「時間だ、寮まで送ろう。
 車の中で、この続きを話す」


 ◇◇◇


「間違えてはいけないのは、現時点でサイモンは何の罪も犯していないこと。
 クレイトンに被害はまだ出ていないこと、だ。
 13歳のサイモンが自らシドニーになったわけではない」

 寮に送って貰う車内で祖父は話し続けた。
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