やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「来年の夏、あの偽者がクレイトンに避暑として乗り込んできたから、ペイジはオーウェンに侯爵家の調査を頼むんだろう?
 オーウェンなら、今夜お前に話した所くらいまでは、簡単に調べることが可能だろうな。
 だがペイジは調査結果を知っても、お前にサイモンと友人として付き合うことは止めなかった」


「サイモンがお前におかしな真似をしても、ペイジがその気になれば、手の内にクララが居るわけだ。
 あいつはサイモンがクララを連れて、セドリックから逃げるのを待っていたんじゃないか。
 あのペイジは我が娘ながら、苛烈だ。
 与えようとした愛情と同じだけの熱量で、憎しみをぶつける様な性格だ。
 サイモンと婚約して侯爵を連れてきたモニカを、説得しようとしてノックスヒルに残したが、リアンが怪我をさせられて逆上して、モニカに絶縁を叩きつけた。
 だが……恐らく、その後10年のあの女の境遇には胸を痛めて、見捨てたことを後悔していたと思う」


「警察は信用出来ないぞ。
 勝手に駆け込むなよ?」 

 車から降りる前に念押しされた。


 母のことを苛烈、と祖父は評するが。
 それはお祖父様も同じでしょう、いや、母は貴方に似ています、と言いたかった。
 ……とにかく情報量が多すぎて、車酔いしかけた。
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