やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「まだ成人もしていない貴方が、幼いクララちゃんを連れて、どこに行けるんですか?
 貴方の地元のセントハーバーでは貴方達は死人ですよ?
 侯爵からも直ぐに追手はかかります。
 他の国に行こうにも、旅券が無ければどうしようもない。
 特にクララちゃんに戸籍が無いのは、致命的です。
 わざとこの子を養女にしなかったのは、それが狙いだったのでしょう。
 貴方が国外へ逃げようとしても、妹の旅券を手に出来ない様に、縛り付けようとしたんです。
 国内でも無戸籍のこの子を受け入れたのはクレイトンの孤児院位だったでしょう?」

「……随分と偉そうに言う」

「事実ですよ、貴方がお好きな言葉です。
 私が貴方よりひとつ年上なのは事実ですからね。
 全て自分だけで解決しようとして答えを出すのは、おやめなさい」


 やめなさい、と言われてサイモンの顔が歪んだ。
 どう見ても、年下の私に年上面されるのも業腹だし、しかし無戸籍の妹を連れて、どこへ逃げればいいのかも分からなくて、何も言えなくなっているのだろう。



「誰も助けてくれないからだろ!
 誰に言えばいいんだ!
 クララを守れるのは俺だけだ!」

「声が大きいです、ほら」
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