やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 ほら、とうとうクララが起きた。
 寝惚けて辺りを見回して、兄に笑って、私に気付いて驚いて、笑顔を見せてくれる。


「お姉ちゃん、今日も来てくれたの?
 このひとね、私のお兄ちゃんなの。
 仲良くしてあげてね」


 ◇◇◇


 仲良く……私はいいわよ?
 でもね、貴女のお兄ちゃんはプライドが高くて、意地っ張りだから。
 1度言い出したら、それを曲げないひとだったよ?
 どうなるかなぁ?



「分かってます、この子を守れるのは貴方だけです。
 だけど、貴方を守ってくれるのは?
 貴方だってずっと、守られなくてはならない子供だったのに」

「はぁ? 誰が子供、って」

「貴方は今月18になるけれど、まだ17でしょ?
 まだまだ誰かに守られるべき年齢です。
 ひとりで抱え込まずに、大人を頼りましょう」

「……」

「あのヒューゴさんは、あぁ見えて結構……
 貴方達兄妹を守る気持ちも、経済力も有ります。
 これから、祖父に電話を入れますから。
 クララちゃんとセントラル駅に到着したら、祖父の迎えの者が参ります。
 先輩はしばらく休学になるかも知れませんが、ことが落ち着いたら、復学できますし、サイモンに戻れます。
 もちろんクララちゃんの戸籍もね」
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