やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 それから、私は事務室から、祖父に電話を入れた。
 アーネストさんが出たので『重要案件、大至急です』とだけ言うと、折り返して電話をくれると仰った。
 10分後に祖父本人から電話を貰えたので、簡単にサイモンのことを説明した。


 祖父は直ぐに了承してくれた。
 妹も一緒だな?と念押しをされ、列車に乗る前に必ずサイモン本人から電話連絡させることを約束して切った。
 電話料金を発払いにしてくれたか確認はしなかったけれど、私の貧乏性を知っている祖父に抜かりはないだろう。


 隣ではサイモンがクララの退院手続きを、サーラさんと行っていた。
 詳しく説明しなかったのに、サーラさんは迅速に書類を手渡していく。
 年長さんの女の子に連れられてクララが入室してきた。
 彼女が手にしていたのは、悲しいくらい小さなバッグだ。


 次に私はノックスヒルに電話して母を呼び出した。
 母には時戻しの話無しで、悪い大人から祖父の家に匿って貰う兄妹が居るから、駅までモンドに送って欲しいと伝えた。
 それだけしか言わなかったのに母は了承してくれて、クララの年齢を聞かれた。
 どうしてか、と尋ねたら。
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