やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 出来る限り余分な現金は持たないように、と。
 クレイトンから出る時に、母から言われていた。


 明日からの週末をモニカと部屋で、だらだらと過ごすだけの予定だった私は、手持ちの70ルアで生きていけるはずだった。
 だけど、もう財布には20ルアしか残っていない。
 割り勘要員のモニカは居なくなったし、ひとりで全額払わなくてはいけない。
 これでは運賃ギリギリで、キャブの運転手へのチップは渡せない。

 …そして銀行は週明けまで閉まっている。


 勿論パピーを助けたことは後悔なんてしていない。
 ただ、他にやりようはあったのに、身分を明かしてお金で解決しようとした。

 おじさんに泣き落としで許しを乞えば、どうにかなったかも?
 周囲の人達に助けを求める方が早かったかも?


 私はいつもこうだ。
 深く考えることをせずに行動して、発言して。
 後から後悔して、迷う。
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