やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 私としては、ダイニングで始めたくなかった。
 予想では、母に言われて『酷いわ!』と泣きながら、部屋に飛び込んだモニカを追いかけて……だったのに。
 味方になるクリフォードを呼びつけたか。


 リアンは私とモニカの応酬に吐きそうになっている。
 この家では口喧嘩や怒鳴り合うことはないので、これくらいでも聞くのが辛そうだ。

『酔っ払い同士の喧嘩は見ている分には楽しい』と言ったフィリップスさんみたいに、繊細なリアンもいつかは汚れた大人になってしまうのかな。



 私は最近、オルと言い合いをし。
 祖父には意見を求めて貰い。
 サイモンを説得したりして。


 自分の言い分を伝える場面が多くなってきて、こう言う場面でエンジンがかかるようになってきた。
 匂わせと部屋に籠るしか能のないモニカとは、経験値が違うのだ。
 それがまた偉そうに滲み出ているのが、モニカには腹が立つんだろう。


 ようやく、クリフォードが姿を表して、その後からカルディナも入ってきた。
 アダムとカレンには戻らないように伝えたのだろう。
 入ってきたのはふたりだけ。


「クリフォード、知ってる?
 このひと、私に部屋を譲れと言ってきたわ!」


 口では叔母様と言っても、心のなかでは『このひと』と母を呼んでいたらしいモニカの本心に触れて。
 母が辛そうな顔をした。
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