やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 叔母様と貴女達とエマ、それに新しく入ってきた4つ年上のモンドが時々加わって、領内の森を散策したり、湖で釣りをしたりしたの覚えてる?


 森で兎を見掛けて、可愛いねって貴女に言ったら、兎って美味しいよね、なんて言ったでしょ。
 兎を食べるなんて信じられなくて、つい泣いてしまったら、叔母様が食べるのを止しましょう、と仰るから。 

 貴女が好きだったのに、泣かなければ良かった、とずっと後悔してた。
 ……それで貴女に嫌われて『あんな子追い出して』と叔母様にお願いされるのが怖かったの。



 それ以降は嫌なものを言うより、好きなものだけを大袈裟に言おうと決めたの。
『鴨が好き』って言ったら、叔母様も叔父様も嬉しそうな顔をなさったから、それが正解だと分かった。



 それから外国語の先生が来ることになって。
 お試しだからと、私と貴女がふたりで授業を受けたけれど、モリッツ先生はこの国の言葉を一言も話してくださらないので、ふたりで顔を見合わせて、混乱するだけだったわね。

 本当に苦痛な授業を2回受けさせられて、叔母様が『続けてみない?』と聞くので、お断りしたの。
 貴女には聞いてくれなかったんでしょ?
 嫌々続けさせられていて、可哀想に思ってたのよ。


『他には何か習いたいものはない?』と聞かれたので、特に無かったけれど、叔母様が焼くお菓子は美味しかったから、それを教えて貰うことにしたの。
 叔母様がとても喜んでくださったので、帝国語のことではがっかりさせたけれど、これは正解だった。
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