やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「……ジェリーは、これから頑張ればいくらだって、何だってなれるけれど、私なんて、高等学院も行ってなくて」

「学院に行きたかった?」

「行きたくはなかった……
 勉強についていけないのは最初から分かっていたし、自分にはマナースクールくらいが」

「モニカには美味しいお菓子を作る腕と、繊細な刺繍の技術がある!
 これは専門職だよ?」


 クララがサイモンに贈ったハンカチの刺繍は、孤児院でモニカが教えたものだ。
 あんな小さい子に教えるのは、根気や忍耐力が必要で。
 モリッツ先生だって、子供相手に帝国語を貫くのは大変だったと思う。
 教える、って、すごいことだ。


「資格も……そうだ、車の免許は?
 モニカは車に乗るのが好きだったから、自分で運転出来たら最高だよ?
 まだ免許を取ってる人も少ないし、それに女性ドライバーは絶対に需要はある。
 未婚のご令嬢を、車と言う密室で男性の運転手に預けたくない親御さんは絶対に居るはずだから」

「……」

「反対に貴女も危ない目に合わないように、女性限定完全予約制で、流しでお客様は乗せないの。
 モンドと一緒に取れば?
 免許があれば、車に乗って何処にだって、好きな時に行ける。
 誰かに、乗せてなんて頼まなくてもいい」
< 345 / 444 >

この作品をシェア

pagetop