やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 兄に似ているクララが成長すれば、美しい女性になるのは想像に難くない。
 お金が欲しい侯爵は、彼女を金持ちの男に嫁がせようとしたのでは。
 それもあって、貴方はクララと私と。
 (離婚出来ていなかったから、愛人になるけれど)
 慌てて、3人で逃げようとしたのかな。



 サイモンが何も言わないので、私も黙っていた。


 荷馬車がムーアの邸内に入った。
 降りる時に、ようやくサイモンが口を開いた。


「あいつの毒を飲ませてしまって、本当にすまなかった。 
 俺がもっと素直に周りに助けを求めていたら、あんな奴に利用されなかった。
 これからはクララを守るためにも、ひとりで突っ走らない。
 ……今回もし、君に何かあれば、必ず助けると決めたよ」


 ◇◇◇


 それからの1週間は何事もなく過ぎていき。
 もう秋と言うより冬が近付いて。
 祖父に話した行列についての案が動き始めた頃。


「ジェリー!」


 メリッサとふたりで、学院の正門を出たところで、私は声をかけられた。
 驚いた、モニカとハント嬢が立っていた。
 我が目を疑った。
 日曜にモニカに電話をかけた時は、何も言っていなかったのに?


 あの昼食会以来のハント嬢だった。
 私はモニカの友人関係をめちゃくちゃにしたと思っていたが、ふたりのお付き合いは続いていたんだ。
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