やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「私のほうこそ、ご挨拶が遅れました。
 サイモン・デイビスと申します」

「私はモニカ・キャンベルと申します。
 お見知りおきくださいませ」


 お姉様との間に入ってきたモニカの自己紹介にサイモンが、身体を引いた。
 偽りの愛を囁いた相手の出現に、思わず避けてしまったように見える。

 モニカの方はサイモンを警戒して、大事な友人を守ろうとしているように見える。
 相手が因縁のシドニー・ハイパーだとは知らないモニカの余所行きの笑顔が、従妹として見てて辛い。


 あからさまに身を引かれたモニカも、微笑みだけは固定しているが、目元がきつい。
 モニカは私と違って、王子様系金髪碧眼好きの面食いではなかったか。


 来年の6月、サイモンとモニカはどこかで出会って恋に落ちたりするのかな、と思っていたが、この感じではふたりの相性はあまり良くない様に見える。
 前回は利害関係の一致で結ばれたカップルだったのか。
 

 とにかくサイモンがシドニー・ハイパーだとモニカに知られてはいけない。
 彼のその名前を知っているのはこの場ではメリッサだけだが、彼女は事情が分からない限り、余計なことは言わない賢いひとなので、大丈夫だと思う。

 現に目の前でシドニー王子がサイモンだと自己紹介しても、黙ってくれていた。
 あぁ、だから大好きなの、メリッサが。
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