やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「あぁ、そっちが先だったかな?
 自分のことなのに、ちゃんと覚えて無いもんですねぇ。
 ギュンターの頭の中をいじくって、ヒルデとシドニーを婚約させて、私の年金を返還させただけですよ。
 婚約者への支援なら調べられても怪しまれないですからね。
 ……そうだな、セドリック以外の他の奴等からの依頼内容も教えましょうか。
 高位貴族ってのは、まともな人間はいませんよ」


 そう言って私を見るので、仕方なく笑顔を作った。
 狂った男に合わせてお愛想笑い、地獄だ。
 早く誰か、この地獄から助け出して欲しい。



「私の話はつまらない?
 じゃあアレの話をしてあげましょうか……
 あの生意気な小僧のね。
 アレが学院に入ってきたのは途中からでしたよ。
 遅れて入ってきたのに、同じ学年の年上の奴等をあっという間に追い抜かして。
 このまま卒業したら、最年少で王族専属だ、って。
 皆から特別扱いされて、本当に目障りな小僧でした」


「私もねぇ、同じ様に期待されていたのに、どういうわけか卒業しても声が掛からなくて、何故か後進の指導教官をしろ、と学院に残されて。
 まぁ、それも最年少での教官だから名誉ではあったんですけれど」

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