やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「祖父からこの国についてまとめろ、と宿題を出されているんです。
 普段は王都に居ないので、蔵書が豊富な図書館が無くて」

「失礼ながら、貴女のような小さなレディがおひとりで、ここへ?」

「いえ、従兄と一緒に来たんですけれど、彼は同級生に捕まって」


 そう言えば、廊下で。
 高等学院の制服を着た男子生徒がひとりと、女子生徒が3人話をしていたが、あの男がこのチビの従兄か。


「お祖父様からの宿題ですか?
 随分と、高いレベルを求められているんですね?」


 側に護衛や侍女が居ないのだから、平民だろう。
 だが、金の匂いがした。
 このチビとお近付きになるべきだ、それは直感だった。


 どんな年齢の女だって、俺がその気になれば簡単に落とせる、はずだったのに。
 俺に、そのジジイへの文句なりをペラペラと話し出すだろう、と思っていたのに。


 俺が着ていた芸術学院の制服を見て、チビが言った。


「私には、貴方の様な芸術的な才能も無いですし、将来的に美人になりそうもないし。
 勉強は才能とは関係ないですから、祖父はそれを伸ばしてあげよう、としてくれているのです」

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