やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「……貴女は幼いのに、何でもご存じのようですね?
 私はジョエルと言います。
 この名前の由来も?」


 俺の名前はヨエルだが、その綴りはこの国ではジョエルだ。
 母は自分を捨てた男の母国の読みで、俺を届けた。


「預言者ジョエルですね!
 ジョエル書はちゃんと読んでいないんです、ごめんなさい」


「じゃ、また会えた時に私がお教えしま……」

「何してるの?」



 次に会う約束を取り付けようとした時、従兄が現れた。


「申し訳ありません、従妹がご迷惑をおかけしたようで」

 素早く俺の全身に視線を走らせた男は、従妹を隠すように間に入ってきた。



「図書館ではおしゃべりは禁止だよ。
 もう行こう」

 そう言いながら、追い立てるようにここから連れていこうとした。
 クソが! 人目が無かったら消してやるのに。


「フレディ、待って。
 本を取ってくださったの、ご挨拶だけ。
 どうもありがとうございました、ジョエルさん」

「君の名前だけ、教えて」
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