やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 ヨエルは笑いながら私の顎を掴んで、顔を覗き込んできたが。
 直ぐに真面目な表情になって、離した。


「冗談、だって。
 アレのお古なんて要らないですよ。
 知ってますか? アレの家族年金、勝手に共同名義の口座作って、受け取りは君ですよ?
 アレが国のために名誉の死、なんてなれば結構な額の遺族年金も君の物なんです。
  たった1回会っただけで、ここまで執着されたら怖いでしょう?」



 国のための名誉の死。
 それを頭から振り払いたくて。


「貴方は今でも、魔法学院で教官を?」

「白魔法士なんて実態は汚いものですよ。
 あいつらが私を、アレの指導教官にしたのは……アレを囮にしたんです。
 まだガキのアレを、私が殺そうとするのを待っていたんです」



「授業にかこつけて、アレが失敗したように見せかけて。
 一瞬で燃やしてやろうと思ったのに、気がつけば囲まれていました。
 あいつら、ずっと現場を押さえようと待っていたんです。
 何より腹が立つのは、アレが自分から囮になると言い出して、私を罠にかけたことですね」 

「……貴方の本性に、オルは気付いていたのね」

 刺激してはいけないと思っていたのに、つい口に出してしまう。


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