やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「ムーアのじいさんのせいですよ。
 私とセドリックの繋がりやら告発したんです。
 それが魔法庁関係書類で残されて。
 この頃はバレなかったのに、10年以上も経って、この前逮捕されそうになって逃げて、時戻しでここへ来たんです。
 私はアレと一緒に時戻しの術を研究していたんですよ。
 ……じいさんが告発する前に、全てを消してしまえば、私の罪は発覚しないでしょう?」


 関係者全員を、祖父の告発前に殺しに来たの?
 時戻しを利用して、ヨエルは何人消すつもりなの。


 もしかして今日、以前とは違う流れになったのは、ヨエルが神の領域に手を出して、死ぬ運命じゃなかった侯爵夫妻を殺してしまったから?
 それで何かが狂い始めたの?



「残念ながら、もう時間切れだな。
 お前の謎かけはじいさんには通じなかった。
 誰も助けに来なかったのは可哀想だが、俺は予定が詰まっていると言っただろ?
 お前を片付けた後は、邸ごとムーアのじいさんや他の奴等を始末する。
 その後は更に1年前に戻って、孤児院に居るアレの耳を引き千切りに行く」
 

 とうとう、ヨエルは嘘臭い笑顔と優しげな物言いを止めた。



「おい、壁か? 床か?
 約束だからな、選ばせてやる」

「ど、どちらも選ばない!」


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