やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 オルが冷静に対決出来ます様に、と願わずにいられない。
 幸いオルはヨエルの挑発に乗ること無く、モニカの側に膝を着き、彼女の額に手を触れた。

 モニカがゆっくりと目を覚ました。


「あ、え……何?」


 ヨエルの馬車に誘い込まれた記憶がないのだろう。
 辺りを見回して焦っている。
 私は座り込んだままのモニカの腕を取った。


「ここを出るの、早く立って」

「え、ジェリー……」

「早く! 外へ出るから!」


 一応、オルの提案に乗った様なヨエルだが、信用出来ない。
 早くこの場を立ち去るべきだ。

 ただ、オルには声をかけて出たかった。



「何をしてもいいけど、あいつを壁や床に埋めないで。
 気持ち悪くて、もうここで踊れなくなるから」

「……いいよ、了解です。
 ここには何度も踊りに来たよ、俺達も」

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