やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

16

 いくら家令のクリフォードが付いていてくれていても、侯爵ご夫妻がお見えになるのに、母だけにすることは出来ない。
 次期伯爵のリアンは、先月14歳になったばかり。
 今、父がクレイトンを離れることは避けたい。


 そう考えたら、病院にも警察にも行けなくなった。

 祖父のところへ助けて貰いに行く?
 どうする?どうする? 
 咄嗟に頭が回らなくて、次の判断が出来ない。


「こんなに迷惑をかけられているのに。
 この子に関わらなければ、今頃貴女はウチに帰れていたのでは?
 庇ったりしなければ良かった、と後悔していませんか?
 貴女に50ルアも使わせたこの子を、足手まといの邪魔者だとは思わないんですか?」


 このひとだって、臭いもしていて血を流して汚れたパピーを。
 自らのコートに包んで、離さずにずっと抱いているのに。
 それなのに残酷な質問を矢継ぎ早に重ねてくる彼を、私は見上げた。
< 41 / 444 >

この作品をシェア

pagetop