やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 大型から中型に移行したカメラはとても高価だったが、その先行投資をしても、還ってくるものは大きい。

 定番商品に加えての期間限定商品も、販売1ヶ月前には試作も完成しているので、発売前には写真が用意出来た。
 実物写真と口頭説明で、注文を変更するお客様が激減して、祖父はイートインのメニュー表も写真入りに変更した。


 ◇◇◇


 そして、あの11月20日、金曜日。
 今日は大学の講義の後フィリップスさんと初めて会う。
 場所は前回のあの夜に渡してくれた名前だけの名刺の裏に走り書きされたカフェで、だ。

 祖父にはこの日にフィリップスさんと出会う運命だとは伝えていなかったのに。
 フィリップスさんの方からの日時指定ということで、ヨエルのせいで狂いかけた運命は、徐々に修正されていってるように感じた。


 年明けからフィリップスさんを週末だけ手伝うことを祖父が頼んでくれたので、これは顔合わせだった。


 彼から今回差し出された名刺はシドニーにも渡していた営業用のもので。
『貴女の共犯者……』は抜きだった。
 少し残念。


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