やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

56

 その後は20時から、サイモンの21歳のバースデーパーティーに招待されていた。

 場所は前回のシェアハウスではなく、私が住んでいたフラットだ。
 心情的に私はこの部屋に住むことは出来なくて祖父に辞退したら、サイモンが借りたいと申し出た。
 

 あのカウチやブランケットを購入しなければいい、というものではなく、とにかくキッチンにもドレッシングルームにもオルとの思い出が浮かんできて、とても住めないと思った。

 それでも祖父から下見に誘われた時は、やはり付いて行った。
 家具も入っていない部屋だったが、色々と胸に迫るものがあって。


 サイモンがクララに『変な奴が無理やりドアに足を挟んで押し入ろうとしたら』と実際にドアに足を突っ込んで見せて。
『思いっきり踏みつけろ』と教えていたのが可笑しかった。
 

 フィリップスさんの指示のもと、死亡届の取消しを申請し、デイビスの戸籍を復活出来たサイモンは大学へ進学せずに、バーナビー商会に就職した。
 クララは王都の有名なお医者様に診ていただいて、『無理さえしなければ手術の必要無し』と診断を受けた。
 今はサイモンの戸籍に入り、初等学校へ通っている。


 今夜のパーティーではサプライズではなく、サイモンは婚約を発表する。
< 417 / 444 >

この作品をシェア

pagetop