やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 伯母からは、『好きな時に好きな所に行ける』乗馬の素晴らしさが綴られていて。
 いつかモニカの体調が落ち着いたら、一度前に乗せて遠乗りがしたい、と書かれていたそうだ。


「ウチに借金がある、ってお父様は私に面と向かって言えなくて、手紙にしたみたい。
 私の治療費が原因だったのよね……」

「……」

「お母様もね、代々お世話になっていたマクレガー先生の手前、私には無理はしてはいけません、なんて仰っていたけれど。
 本当は叔母様のように外へ連れ出したかったみたいなの」

「……」

「どう読んでも遺言書じゃないし、私には無理だ、叔父様にお任せしたらどうか、とお父様は書かれていたのに、前回の私は本当におかしくなっていたのね。
 叔父様も叔母様も、そんな私の一方的なごり押しを聞いてくださったのね」
 

 それから、モニカは前回と同じ様に、両親に手紙を見せて。
 前回とは違った話し合いをして。
 クレイトンの女伯爵になると決めた。

 彼女は今、自分の運転する車で、クレイトンの特産品取引拡大を目指して、王国中を営業に回っている。

< 419 / 444 >

この作品をシェア

pagetop