やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 8時間も同じ目的で同じ場所に居ると、自然と親近感がわいて、周囲の人達と仲良くなる。
 私はファンの皆さんと手持ちのお菓子を勧め合ったり、トイレに行く時は場所を見てて貰ったり、と交流を深めた。


 話を聞くところによると、皆さんの今回のお目当ては、まだ16歳になったばかりのオルシアナス・ヴィオンくんらしい。
 皆さんは独自のルートがあるらしく、魔法学院の内情に詳しかった。


 オルシアナスくんが学院史上最年少の10歳で入学するまで、記録を持っていた麗しのスピネル、ヨエル・フラウが学院を去ったので目の保養が居なくなった、と絶望していたところに、彗星のごとく現れたのがオルシアナスくんで。

 すごい美少年であり、溢れる魔力を持つ彼は、パレード初参加であるのに、大注目されていた。


 あの『赤毛のベッキー』こと、レベッカ・ヴィオンがその才能に惚れ込んで養子にした、だとか。
 彼の卒業を待って、20歳のイブリン王太女殿下の専属になると内定されているから、殿下には現在専属が居ない、だとか。


 8時間の内に、私はオルの様々な情報を手に入れたのだった。

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