やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 少なくとも、私は笑わない。
 ずっとどうしてなのか、分からなかった答えをくれたから。



 前回、リアンが意識不明になって直ぐにクレイトンへ帰れ、と。
 フィリップスさんが私に取ってくれたのは、その日の最終便のチケットだった。
 だけどオルには『後から来い』と3日後のチケットを用意して。
 どうして彼だけ3日後なのか、ずっと分からなかった。


 ……前回も同じ考えだったなら。
 私の両親も、祖父も、クリフォード達も。
 リアンの事故から3日経って、少し落ち着いて。
 そこにオルが登場したら、受け入れやすいだろう、と。


 そう思って、フィリップスさんは彼のチケットを用意してくれたんだ……
 ノックスヒルで、彼の居場所を作りやすくするために。


 あの行動の意味がやっと分かって、鼻の奥がツンとした。
 恋の相談が苦手なくせに、泣かせないで欲しいよ。
 おかしい、木の芽どきも無事に乗り切ったと言うのに、やっぱり私は情緒がおかしくなっている。



「慰めにもならないですよね。
 でも、先に言ってた『たった1日でも、一生ものの恋に落ちることがある』でしたっけ?
 あれ、僕もどこかで使わせて貰ってもいいですか?」

「『落ちることがあるかもしれない』でしたよ」



 私が訂正したので、フィリップスさんが笑った。
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