やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 その日から3日後のことだ。
 私がそうなるように企んだわけではなかったけれど。
 フィリップスさんの『3日後には気持ちが少し前向く説』は正しかったのか。
 私は、確かに気分が浮上しつつあった。



 今夜は16歳のクララを除いた女友達4人とニュージェネシスに来ていた。
 メリッサとマーサの婚約祝いと、司法試験合格を目指す私を激励する会だ。


 ヴァイオレットお姉様は3歳になったばかりの愛息クインくんを、サイモンに預けて来てくれた。
 モニカとマーサはシーズンズとの契約更新で王都を訪れていた。



 抱擁と拍手と乾杯と近況報告と『今夜は飲むぞー!』と。
 ひとしきり落ち着いた頃にモニカが持ち出した話題は『本当にオルは綺麗な顔をしているのか?』だった。


 自分で地道に回ってきた営業活動の手応えがいいこと。
 父との契約更新で、同席していたフィリップスさんに久々に会えたこと。
 それらから気分が昂っていたモニカは、いささか飲み過ぎていたのだろう。


 私が時戻しをしてきたことをバラせば、三代呪われる、とモニカにも脅していたので、さすがに私のことは黙っていたが。
 8年前、時戻しをしてきた23歳のオルの話を始めたのだ。



 隣の席のメリッサからフレディの逃げ道を潰していく溺愛ぶりについて、相談を受けていた私はそちらに気を取られていて。
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