やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 幼い頃のオルを知るマーサとお姉様に、その話をし出したモニカを止めることが出来なくて。
 ふたりの『ええっ』と言う驚愕の声で気が付いた。



「あの地味なオルくんが、あの有名なオルシアナス・ヴィオンなの?」

「魔法学院に行ったのは知ってたけど……
 え、あれでしょう?
 あんなに暗かったオルが美形に成長するわけない!」


 マーサの失礼な断言に、思わず彼女の頭を小突いた。
 私も少々飲み過ぎているのかもしれない。
 モニカと私は、現状相手が居ないのだから、ふたりとも飲み過ぎるのは許して欲しい。
 全員笑っているのが救いだけれど。
 笑いながらモニカがとうとうと意見を述べる。


「私も助けて貰った時、すごく格好良く見えたんだけど、今から思うと……
 私とジェリーは魔法に掛けられていたんじゃないかな?
 あの子が凄腕の魔法士なのは確かだから、容姿が美形に見える魔法よ。
 それで8割増しの美男子に見えてた」 

「何、失礼なこと言ってるのよ。
 あの2年前のパレードでオルを見た皆さんは、口を揃えて大絶賛だったよ!」


 クリスタルホテルの会議室から悠々と見ていたモニカとマーサは、あのオルの恐るべき美形ぶりを間近に見ていない。
 だから、そんなことが言えるのであって……

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