やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「オルから?」
「銀行口座、本人に内緒なら、家族の同意書を貰ってこないと駄目だ、と言われて。
ムーアの邸に連絡して会って貰った」
銀行口座……ヨエルが言ってた共同名義の口座開設のため?
じゃあ、前回の19歳で時戻しをする前も、祖父と13歳のオルは交流があったの?
それを私には、全然知らせず?
それで、会わせようなんて言ってたフィリップスさんとのセッティングが無かったんだ。
「2年目から家族年金が貰えるようになったんだけど、もし俺が死んだら、本人名義だと残高は全て国に返還されてしまう。
だったら、ディナに、って……
じぃじには同意書を書いて貰って、それから時々会って、貴女が弁護士を目指してる話も聞いた」
「……」
「勝手にしてごめん。
怒ってる? 気持ち悪い?」
あの時、ヨエルに言われた言葉が甦る。
『国のための名誉の死』
私は首を振った。
「オルがしてくれることに、気持ち悪いことなんて、ないよ。
共同と言っても、貴方の名前があるから。
ただ、私に遺族年金は受け取らせないで。
……お願いだから」