やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

「あの日、師匠と俺は魔法学院の学院長室で軟禁されて。
 同じ様にスピネルもどこかへ連れていかれて。
 それから姿は全然見ないんだけど、何かやらかして時送りで連れていかれた、や。
 いや、いきなり消えた、とか聞いたけど、はっきりした消息は教えて貰えなかった。
 とにかく、俺と師匠は時戻しをしてきた自分に会うとどうなるか分からない、とあいつらが帰るまで閉じ込められてた」

「……13年後のオルは何を書いていたの?」

「絶対に他の男にディナを取られるな。
 絶対に他の女に誘惑されるな。
 1年半、相手にされなくても、めげるな、諦めるな。
 お前が頑張らないと、俺の人生は云々……と言う、激励と言うか、脅しと言うか、そんな内容」


 性格的にあれこれ指示されるのが嫌なのか、面白く無さそうにオルが手紙の内容を簡単に話した。
 見知らぬ赤の他人からの手紙じゃない。
 自分からの手紙なのに、その瞳は冷めている。


「経過が変われば結果も変わる、って書いてたけど。
 俺は敢えて経過を変えて、尚且つ結果も変えないようにしたくて。
 あいつより先にディナに会いに行こう、とその時に決めた」


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