やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 夜の街には意外にも、夜間営業をしている薬局が存在しているらしい。
『酔っぱらい同士の喧嘩は見てる分には楽しいですが、実際は流血を伴う凄惨なものに発展することが多いんですよ』と薬局に向かいながら、フィリップスさんは薬局の存在意義を語った。


 フィリップスさんはパピーを軽々と抱いたままで、人混みの間をすいすいと通り抜けていく。
 そして、私は彼の背中を見ながら後を付いていく。


 シドニーの部屋を出てから、それほどの時間は経っていないだろうに。
 ここは学生街の一部なのに。
 あのパーティーが遠い昔の、遠い何処かでの出来事だったように思えた。


「消毒薬と塗り薬とガーゼと鎮痛剤、この子なら1錠を半分にしてそれもまた砕いて、と容量を減らして飲ませてください。
 それと今も少し身体が熱いので、多分夜中に発熱すると思うので氷嚢と……
 氷も多めに買っておきましょうか。
 溶けてもそれが冷たくて、発熱時には役に立ちますよ」 
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