やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

 私の方が知り合うのは早かった。
 皆が言うように、仲を取り持ったわけではなかったけれど、私を通じてシドニーはモニカを知ったのだ。


「私が、貴方との交際の、邪魔をする、とモニカが、言ったの?
 ……貴方はそれを、信じたの?」
 
 敢えて細かく区切って、確認するように尋ねてやった。
 すると、シドニーの瞳が揺れた。


「いや、俺もすべてを信じたわけじゃないけど」

「すべて、と言うことは他にも何か聞いてるのね?
 そうね、考えられるとしたら。
 平民になっていた私の父がクレイトンを盗んだ、とか?」


 モニカの父は、私の伯父だった。
 8年前、クレイトン伯爵夫妻だったモニカの両親は列車の脱線事故で亡くなり。
 兄の後を継ぎ実家に戻って、新たにクレイトン伯爵となった私の父は、ひとり生き延びた当時13歳のモニカを引き取って、実子とかわりなく今まで育てていた。

 クレイトン伯爵位は私の弟が継ぐことになっていて、母はモニカを嫁に出すまでは、本当の母娘のように甘えてほしい、と姪である彼女を私以上に慈しんできたのに。
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