やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 お任せください、と言ってくれたクリフォードに、明日の夜また電話するから、と電話を切った。
 母と共に前伯爵の負債返済のために倹約第一に励む彼は、長距離電話を短時間で終わらせようと私への報告内容を事前に書き出して、それを電話口で読み上げるのではないだろうか。


 クリフォードからモニカの思惑を聞かされた両親の傷心を思うと胸が痛む。
 酷なようだが、両親にも弟にも、あの人達を迎え撃つ心の準備をしてもらわないと、一方的にやられてしまう。

 私も今すぐにでもクレイトンに帰りたかった。
 そしてかわいがっていた姪の本当の気持ちを初めて知って、落ち込んでいるであろう両親の傍に寄り添いたかったが、来月には前期末試験があり、それが終わると新年までクリスマス休暇になるので、それまで帰郷するのは我慢する。


 その頃にはパピーのことも、落ち着いているだろう。
 背中の傷が消えて、心の傷が癒えて
(フィリップスさんの様子からはこのての傷はなかなか癒えないのは想像がついたが)、
元気になったら。
 警察に連れていって……

 でも、もし嫌だと泣いて、私と離れたくないとすがってくれるなら。
 クレイトンへ連れていこうか。
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