やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 パピーをノックスヒルで育てるのは、無理かな。
 私はもう、多分誰のことも好きになれないだろうから、パピーを私の養子にしても……

 そこまでで、私の夢想は覚めた。


「これ、これ、血は抜くの、直ぐに出来ないよ」

 クリーニング店のオーナーの娘であるリーファが、コートの染みを指差していた。
 ここは学生街のクリーニング店で。
 とにかく『安い! 早い! 綺麗!』を売りにしている。
 土曜の午前中に出せば、月曜の朝一番に受け取れると思っていた。 


 高級な生地を使用したコートは他とは別にして、より丁寧に扱わなくてはならないし、血を抜くのは手間がかかる、と言われて、料金も5ルア均一なのに、22ルアを支払った。


「困ったなぁ、これは借りたの。
 月曜日には返します、って言っちゃったの。
 明後日の朝までに、どうにかならない?」

「無理なもんは無理、おとといきやがれ、だ」


 リーファは東の大陸からの移民で、この国の言葉の使い方をよく間違える。
 この店の客層は大学関係者が大半で悪くないのだが、彼女の片言を面白がって、わざと不適切な言葉を教える質が良くない人もたまに居たりする。
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