やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 元パピーの背中は傷1つない綺麗なものだった。
 魔力が回復したので、自分で完治させたと言う。
 良いことなのに、なんとなく面白くないような複雑な気持ちが顔に出ていたのだろう。


「治せたのはディナのおかげなの!
 助けてくれて、ありがとう」

 大袈裟なくらい身を震わせて感謝されて、再び抱きつかれた。
 分かったから、裸の状態で抱きつくのは止めて欲しい。


「やっぱり、あれは鞭で打たれたの?
 誰にやられたの?」


 ふたりでドレッシングルームまで戻りながら、元パピーに尋ねた。
 彼女が着られそうな服を、ワードローブから探して着て貰ったけれど、バストのところでボタンがはめられなくなって、屈辱感を味わうことになった。

 私に比べて、たわわが過ぎる。
 仕方がないので、かぶって着られる大きめの部屋着を渡した。


「こっちへ来て、身体が小さくなったのに気付いた。
 それまで着ていた服が大き過ぎて脱げてしまうから捨てて、子供だし良いかと思って裸でふらふらしてたら
『ウチに丁度孫の服があるからおいで』とババアに声をかけられて」


 子供だから、で女の子が裸でふらふらしてた、って!
 元々、パピーは露出することに抵抗がないのだろうか。
 それに助けようとしてくれた女性をババアとは、口が悪い。
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