やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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「喧嘩に巻き込まれて、怪我を?
 私は刺されたの?」

「うーん……回避したんだから、もうそれはどうでもいいんじゃない?」

 はっきり言いたがらないシアに腹が立ち、私は宣言した。


「どうでもいいわけない、私のことでしょ?
 貴女が話さないなら、もういいわ。
 助けていただいたのは感謝します。
 御礼に今日は居てくださっても結構。
 だけど明日には出ていってね!」


 子供っぽい最低なやり方だと、自覚はあった。
 ここから出ていけ、と切り札にして。
 シアに対して穏やかに対応出来ないのは、何故?
 話して欲しいと頼めばいいのに、それが出来ない自分が嫌だ。

 そしてそんな私を、怒りもせずに余裕な感じで見てくる魔女も嫌。


「変わらないね、ディナは」


 如何にも諦めたようなその言い方に。
 10年経っても成長しない、と言いたいの、と。
 揚げ足を取りたくなる、自分の口を閉じた。


「明日も明後日も出ていきたくないから、少しずつ10年後を話すわ。
 いくら、魔力が回復したとは言え、直ぐには戻れないの。
 休息して体力を温存させて、来た以上に魔力を増幅させないと、10年後に戻ったあたしは、また子供になるのよ?
 魔力増幅は貴女に匿って貰わないと無理。
 後はそれこそオーウェンに……」
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