やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 事故に遭わなかったのだから、10年後に恋人から求婚されても、遠慮はしなくていい。
 私の心は弾んだ。
 自分でも思う、簡単な女だ……

 だけど、反対にシアの表情は曇っていた。


「……先のことは分からない。
 昨夜の事故が起こらなかったことによって、ディナのその後が変わってしまった可能性が高いの」

「どう言うことなの?」

「昨夜、オーウェン・フィリップスは貴女に助けたいと声をかけてきた。
 だけど、本当は事故に遭ってしまった貴女に一番最初に駆け寄って病院に運ばれるまで、付き添ったのがあの男だったの」

「……」

「あたしの時戻しはね、うまく説明出来ないけれど、そう言うことなの。
 ジェラルディン・キャンベルの人生で、あの日はオーウェン・フィリップスと出会う日だった、と言うことよ。
 それだけは動かせないディナの運命。
 出会うと決まっている人物と出会いの形が変わったせいで、先の関係性も変わってしまう可能性は否定出来ない」

「それはつまり……」

「原因と経過が変われば、結果も変わる」
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