やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「どうしたの? 今度は逃げないの?
 出ていけ、って叫ばれる覚悟してたのに。
 まぁ、何を言われても出ていかないけどね?」


 楽しそうに、少し意地悪な質問をしてくる。
 私の髪を長い指にくるくると巻き付けて、口付けた。

 その妖しい囁きと、その甘い仕草に、囚われて。
 胸の辺りを鷲掴みにされたようだった。


「10年前のディナも可愛くて、やっぱり好きだよ。
 また、俺のディナになってくれる?」


 一瞬だった。
 抱き締められて、そのままカウチに押し倒された。
 クッションと彼の腕に守られて、いきなり押し倒された衝撃もなかったけれど、確かに押し倒されて、私の上に彼が居て。

 一瞬で周囲の視界が変わったのに、視線は金色の瞳に固定されたまま。
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