やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

29

─どうして、女性の姿になっていたの?

─ ディナが留守の間に、この姿に戻れてたんだけど。
 いきなり男の姿を見せたら、即行逃げられて話も聞いて貰えないと思って、段階を踏もうかな、と。
 オルになるのは、もっとシアと信頼関係築けてから、の予定だったけど。

─ 初めて見た時、貴方は自分の身体を撫で回していたわ。
 露出狂の変態の空き巣か、と思った。

─ 変態……そう見えたのも無理ないね。
 女性になるのは変性魔法と言って、絶対に身元がばれたらいけない仕事を命じられた時に、かけたりするんだけど。
 今まで2回くらいかな?
 あまり使わない魔法だから、こんなもんでどうだろうと掛かり具合を確認してたところを見られたんだ。

─……自分の身体だからいいけれど、貴方は胸を揉んで、うっとりしている様に見えてたよ? 

─ 愛しいディナのおっぱいと、手触りとか大きさとか比べ……痛っ!
 何で、ひっぱ叩くの?

─……

─ あのね、まだ処女の今のディナには未知の世界なんだけど、10年後の俺達って全て許し合って全てさらけ出し合って、あんなこともこんなこともする仲で……
 グーで殴ろうとするの、やめて!

─ あの、シアの話し方も、語尾伸ばすの変!
 身体もクネクネしてて、過剰に女を演じ過ぎなの!
 あんな女の人、普通は居ないから次回から気をつけてね!

─ 男はあれやると、大抵は喜ぶんだよ?

─ 貴方の好みはそうかも知れないけど、女から見たら不自然なの!

─ 俺の好みは色気無しディナだよ、分かってるくせに。
 もしかして迫られたい?
 ……だから! グーパンチはやめて!
 


……以上、いちゃいちゃタイムの会話、ではない。
< 87 / 444 >

この作品をシェア

pagetop