やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「モニカの言うことが真実ではなく、それが思い込みであっても、ずっと彼女が苦しんでいるのは事実なんだ。
だからもう彼女は君達家族から早く離れるべきだと思って、婚約を早めたんだ。
結婚は俺が大学を出て仕事も落ち着いてからになるが、これを機に、モニカはウチの実家に引き取らせて貰うよ」
「……確かに真実より事実の方が大切ね。
モニカにずっとそう思われていたのなら、ウチを出ていくのに私は反対しない。
でも、良かったわ。
伯父様達は列車事故で亡くなったの。
そこだけは父が関わっているのではないとはっきりしていて、それは紛れもない事実だから。
伯爵になりたかった父が企んだ殺人だ、と触れ回られないだけ不幸中の幸いだった」
「おい、ジェン! 言っていいことと悪いことがあるぞ!」
シドニーが私に対して大声をあげたのは初めてだった。
伯父達の死因が事故だったことを、不幸中の幸いと言った私は酷い女なのね。
でも真実なんかどうでもよくて、嘘だらけの事実を受け入れたいシドニーだって、私にとっては酷い男じゃない……
「酷いわ、ジェリー……」
背後から声が聞こえたので、振り返った。
キッチンの入り口にモニカが立っていて。
ショックで震える彼女の瞳から。
彼女の菫色の瞳から、綺麗な涙が一筋流れた。
だからもう彼女は君達家族から早く離れるべきだと思って、婚約を早めたんだ。
結婚は俺が大学を出て仕事も落ち着いてからになるが、これを機に、モニカはウチの実家に引き取らせて貰うよ」
「……確かに真実より事実の方が大切ね。
モニカにずっとそう思われていたのなら、ウチを出ていくのに私は反対しない。
でも、良かったわ。
伯父様達は列車事故で亡くなったの。
そこだけは父が関わっているのではないとはっきりしていて、それは紛れもない事実だから。
伯爵になりたかった父が企んだ殺人だ、と触れ回られないだけ不幸中の幸いだった」
「おい、ジェン! 言っていいことと悪いことがあるぞ!」
シドニーが私に対して大声をあげたのは初めてだった。
伯父達の死因が事故だったことを、不幸中の幸いと言った私は酷い女なのね。
でも真実なんかどうでもよくて、嘘だらけの事実を受け入れたいシドニーだって、私にとっては酷い男じゃない……
「酷いわ、ジェリー……」
背後から声が聞こえたので、振り返った。
キッチンの入り口にモニカが立っていて。
ショックで震える彼女の瞳から。
彼女の菫色の瞳から、綺麗な涙が一筋流れた。