私の全てを盗んで、愛して
「これは、俺自身が望んでる事じゃないんだよ。吸血鬼は、運命の人を見つけたら二年以内にその人から離れて暮らさなきゃいけないんだ」
「じゃなきゃ、私たちの関係は無かったことになるの?」
私は久々に泣いた。視界も周りの音も全てが霞んでいる。
前じゃ考えられなかった。離れることになり、泣くなんて想像がつかない程。
でも今は話を聞かなければならない。
これは、私のためにも、夕凪のためにも。
「離れる期間は三年。そしたら必ずまた波留の所に戻ってくるから」
「、、、わかった、、、約束ね」
「わかったからいい加減もう泣き止んでください?」
「ふふっ、敬語なんて久々に使いましたね?」
今、許しあって愛し合ってるからこそ乗り越えなければいけない壁にぶつかった。
「ねぇ、もう帰るの?」
「うん、俺もこれ以上いると帰れなくなっちゃうから。波留と離れたくなくて」
「そっか、じゃあさ今日の分していいよ?」
「ありがとう、これでしばらくはお別れな」
ガリっ
今日の血は少し苦いかもしれない。
それでも、夕凪は美味しいといって私の血を飲んでくれた。
「それじゃあ絶対私の事、迎えに来てよね」
「当たり前じゃん、だって好きな人だからさ」
これから一生会えないほど大袈裟だけど、本当に心配だから。
最後に約束のキスをした。
そのキスはなんだかんだ甘かった。