私の全てを盗んで、愛して

「最っ悪。」

本当に来てしまった。というか、ウワサは本当だったのだと興味もあった。

でも、血を吸われるのは厄介だから、、、。
今日は寝らずに立ち向かおう。
(包丁があれば、って!私何物騒な考えを、)

そう考えているとあっという間に夕食の時間になってしまった。

そういえば、手紙は相手に見えないって言ってたから、、。お母さんとお父さんに見せてみるか!

いそいそと階段を降りて、尋ねた。

「ねぇ!この手に持ってる手紙見える!?」

そう聞くと不思議そうな顔をして

「何のことをいっているんだ?」

とお父さんから言われてしまった。
お母さんも同じようなことを言っていた。

(やっぱり本当に見えないのか、、)

「あ、ごめん!やっぱ何でもないよ」

混乱した気持ちを切り替えて椅子に座り、食卓を家族で囲んでご飯を食べた。
やっぱり、家のご飯は最高。

食べ終わったあと、漫画を見て、ゲームをして、歯を磨いた。

時刻は午後十一時半。
一回の寝室を除くと、家族はみんな寝ていた。

「そろそろじゃないか?」

そう思って窓の鍵を確認して、カーテンもドアも閉め、もう対策はバッチリだ。
さぁ来てみればいい!と意気込んでいる自分が少し情けなくて、恥ずかしい。

だが、十二時を回っても来ることは無かった。


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