ナミダ花火
私が大地にメッセージを送ってから、数日が経った。
だけど、どれだけ待っても大地から返事が来ることはなく、とうとう夏祭り当日になってしまった。
私は自宅の自分の部屋で、先日お母さんに買ってもらったばかりの浴衣に袖を通す。
白地に藍色の朝顔が描かれている、店先で一目惚れした浴衣だ。
「その浴衣、鈴華にとってもよく似合ってるわ」
浴衣を着付けてくれていたお母さんが、目を細める。
「鈴華。今日のお祭りは、大地くんと行くの?」
「えっと……うん」
お母さんに聞かれて、私はつい『うん』と言ってしまった。
大地からの返事は来ておらず、一緒に行けるかどうかも分からないというのに。
「そう。楽しんできてね。気をつけて行ってらっしゃい」
「ありがとう、お母さん。行ってきます」
準備の整った私は、お母さんに手を振って家を出た。